◆azwd/t2EpEによる雑記です。 自由気ままに書いてみます。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

目次です
第1話~第5話へは上記リンクから飛んでください

初めて読む方はブーン芸さんのブログのルールをお読みいただければ分かりやすいかと思います

第6話は「続きを読む」からどうぞ


(;ФωФ)「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

(;ФωФ)「ぜはぁ、ぶはぁ、ぐはぁ」

ノハ#゚⊿゚)「ロマうるさい!!」

(;ФωФ)「し、仕方ないのである……ビーグルが重すぎるのである……」

 モンスターマスター・ショボン宅の側で生け捕りにしたビーグルは、気を失ったままだった。
 ヒートの汚職事拳はヒートが活力を入れてやらない限り、目を覚ますことがない。
 また暴れられてはならないため、一行にとっては好都合だったのだが、しかし。

(;ФωФ)「気を失った生物が重いのは重々承知……であったが……」

ノハ*゚⊿゚)「重いと重々をかけたのかぁぁぁぁ!! 上手いなぁぁぁぁ!!」

(;ФωФ)「突っ込む気力もないのである……」

 東の都までは、地図上の距離を元にロマネスクが計算したところによれば、五日ほど歩けば着くはずだった。
 ただし、それはあくまでいつもと同じ速度で歩いた場合、だ。
 ビーグルを引き連れたままでは、当然試算よりも時間は延びる。

||‘‐‘;||レ「大丈夫? 代わる?」

(;ФωФ)「だ、大丈夫なのである……女性の手を煩わせてはならんのである……」

ノハ#゚ー゚)「……私も一緒に引っ張ってる気がするんだけどなぁぁー」

(;ФωФ)「あ……そういえば……」

ノハ#゚⊿゚)「『そういえば』の後の言葉次第じゃあまた汚職事拳を振るうことになりそうだなぁぁぁぁ!!」

(;ФωФ)「に、逃げる気力もないのである……」

ノパ⊿゚)「やれやれ……」

 結局、ロマネスクの力はあってもなくても同じという結論が出され、ビーグルはヒート一人で引っ張ることとなった。

 先ほどと同じ平原がやけに美しく見えるロマネスクの足取りは、随分と軽やかになった。
 複雑だったのは、一緒に引っ張っていたときよりもヒートの歩く速度が速くなっていたのを見たときだが、ロマネスクは気にする余裕もなかった。
 ビーグルの前足に括りつけた縄を握り続けた手は震え、踏ん張り続けた膝も笑っていたからだ。

||‘‐‘||レ「ヒートちゃんはいつも元気ね」

( ФωФ)「昔からなのである」

||‘‐‘||レ「……昔からずっと、そうなの?」

( ФωФ)「まったく変わってないのである……」


( ФωФ)(……ん? 昔から……?)

( ФωФ)(確かに昔から元気だけが取り柄のような子ではあったが……)

( ФωФ)(…………)


||‘‐‘||レ「……どうしたの? 突然黙っちゃって」

( ФωФ)「……いや、何でもないのである」

( ФωФ)「それより、貴女には後で話があるのである」

||‘‐‘||レ「話? 私に? なぁに?」

( ФωФ)「後で、である」

||‘‐‘||レ「構わないけど……」

 カウガールのトンキーも、さすがにビーグルを引っ張れるほどの力はない。
 今はカウガールが曳きながら、一緒にゆっくり歩いている状態だった。

ノパ⊿゚)「ビーグルの群れも来ないなぁぁ~、平和だなぁぁぁ」

( ФωФ)「また襲われてはたまらんのである」

( ФωФ)「そういえば、なんでこのビーグルは単独行動を取っていたのか、分からんままであるな」

ノパ⊿゚)「難しいことはいいじゃん! って言ったじゃん!」

( ФωФ)「しかし、不可解なのである」

||‘‐‘||レ「ビーグルがウイルスを持っているとすれば、異常行動にも納得がいく気はするけれど」

( ФωФ)「確かに、凶暴化してしまうことを考えれば、群れから外れて行動してもおかしくはないのであるが」

||‘‐‘||レ「もう一つ気になるのは、突然死してしまう豚と違って、ビーグルは唐突に死んだりしないっていう点ね」

( ФωФ)「それも確かに、である。突然死でなければ、ビーグルが死んでしまったとしても、それがウイルスのせいなのかどうか、判別がつかないのである」

||‘‐‘||レ「屍体から病原体は検出されないから、よね?」

( ФωФ)「そうである。豚シンデルエンザは豚にしか脅威がないとも言われているであるが……。
      ビーグルも、突然死ではないというだけで、死に至っている可能性はあるのである」

||‘‐‘||レ「……他の生物の生命が脅かされる可能性も、なくはないわ」

( ФωФ)「まぁ、生け捕りにできたこのビーグルを調べれば、多少は謎も解明できるかとは思っているのであるが……」

ノハ;-⊿-)「難しい話はぁぁー、いいじゃんってぇぇー」

(;ФωФ)「……やれやれである」

 日が降る頃になってから、一行は辺りに町や村を探した。
 大きな地図上では見つけられないものの、小さな町や村が存在する可能性はあるためだ。

( ФωФ)「ちょっと都への道からは逸れてしまうのであるが……」

ノパ⊿゚)「仕方ない!!」

( ФωФ)「今日はこの村の宿に世話になるとするのである」

 夜になってからようやく見つけた村は、非常に小規模だったが、宿はあった。
 ログハウスのような見かけで、窓からは暖かい光が漏れている。
 煙突からは炊煙も上がっていた。

 中に入り、受付の老婆に一揖してからロマネスクは筆を持って宿帳へ向かう。
 要領の良い彼は前回の宿泊経験を経て、手続きを完璧に行えるようになっていた。
 ただし、それが何となくつまらないヒートは頬を膨らませている。

ノパ⊿゚)「ちょっとくらい欠点があってもいいんだぞぉぉ~」

(;ФωФ)「それは散々醜態を晒した我輩への嫌味であるか?」

 手続きを終えた三人は一緒に食事を摂り、終わってからは汗を流した。
 後は眠りに就くだけだったが、即座に夢の世界へと旅立ったのはヒートだけだった。
 元気にビーグルを引っ張っていたものの、やはり疲労があったのだろうか、とロマネスクは思った。

 ヒートの寝顔を確認したあと、ロマネスクは静かに部屋から退出した。

||‘‐‘||レ「ヒートちゃんは、もう寝ちゃったの?」

 風呂から上がったあと、外で体を冷やしていたカウガールの許へ、ロマネスクは歩いていく。

( ФωФ)「大いにぐっすりなのである。アルファベットZのスーツは心地よいそうである」

||‘‐‘;||レ「あれ貰ってきたんだ……」


||‘‐‘||レ「……で、お話は何かしら?」

||‘‐‘||レ「わざわざヒートちゃんを遠ざけたくらいだから、明日のお天気の話じゃなさそうだけど」

( ФωФ)「ヒートは純粋な子なのである。あんまり聞かせたくはなかったのであるよ」

||‘‐‘||レ「……ふぅん。気になるわね」

( ФωФ)「気になってるのはこっちのほうである」


( ФωФ)「カウガール、貴女は何故"嘘"をついたのであるか?」


||‘‐‘||レ「……意味が分からないわ」

( ФωФ)「それが本心であるなら、我輩としても嬉しいのである」

( ФωФ)「ただ、貴女は旅の目的を『豚シンデルエンザの治し方を探すため』と言ったのである」

( ФωФ)「どう考えても、おかしいのである」

||‘‐‘||レ「……同じことを言うけれど、意味が分からないわ。何故、それがおかしいの?」

||‘‐‘||レ「私は豚シンデルエンザで豚たちが死んでしまうのを見過ごせなくて」

( ФωФ)「モンスターマスター・ショボンが言ったことを、覚えていないのであるか?」

( ФωФ)「『豚シンデルにかかった豚は、突然死してしまう。
      生きている状態で調べるのは、難しい』」

||‘‐‘;||レ「!!」

( ФωФ)「そう……生きている状態で調べるのが難しいということは、そもそも豚シンデルエンザに罹病したと感知することさえ困難なのである」

( ФωФ)「『予防』なら納得がいく。しかし、『治療』ではおかしいのである」

( ФωФ)「治す間もなく突然死してしまうから、豚シンデルエンザは恐ろしいのである」

||‘‐‘;||レ「…………」

( ФωФ)「もちろん、貴女のなかでは『予防』のつもりだったが、言葉としては『治療』になってしまっていただけ、ということも考えられるのである」

( ФωФ)「つまり、単なる言い間違いであったというのなら、我輩は心より詫びる覚悟である」

( ФωФ)「しかし……貴女は何か、他の目的も抱えているのではないか、と思ってしまうのであるよ」

( ФωФ)「我輩たちを、悪意を持って欺こうとしている、とは思いたくないし、そう思ってもいないのであるが……」

|| ‐ ||レ「…………」

||‘‐‘||レ「……厳密には、私が言ったことは、嘘ではないのだけれど……。
     そうね、そこまで気づいてるなら、黙っていても仕方がないわね」

 カウガールはロマネスクに一歩、歩み寄る。
 二人の月影が僅かに重なった。

||‘‐‘||レ「今から言うことは、まだ全部推測の域を出ない話よ」

||‘‐‘||レ「荒唐無稽で、まったく信じられない……いえ、信じたくない話かもしれないけれど」

||‘‐‘||レ「それでも、聞く?」

( ФωФ)「……もちろんである」

||‘‐‘||レ「……そう、分かったわ」


||‘‐‘||レ「まず、この豚シンデルエンザ、ビーグルも感染していることは間違いないと思う」

( ФωФ)「我輩もそう思うのであるよ」

||‘‐‘||レ「モンスターマスター・ショボンの見立てでは、ビーグルが感染源となっていて、豚にうつると突然死してしまう……ということだったけど」

||‘‐‘||レ「豚への感染が凄まじい勢いで広まっていて、ビーグルも最近、あちこちで暴れてるって話だわ」

( ФωФ)「……もしや、潜伏のことを考えているのであるか?」

||‘‐‘||レ「鋭いわね、そのとおりよ。このウイルスはあまりに爆発的に広まりすぎている」

||‘‐‘||レ「恐らく、相当な潜伏期間を経ているんだわ」

||‘‐‘||レ「……そして、潜伏している間は何も感じられない」

( ФωФ)「しかし、よく分からないのである。貴女はいったい、何を恐れているのであるか?」

||‘‐‘||レ「……豚と、ビーグル以外への感染よ」

 夜風がカウガールの髪を攫い、その表情を覆い隠す。
 ロマネスクは、何故か、背後の月の光で目が眩んだ。

(;ФωФ)「人への感染……であるか?」

||‘‐‘||レ「えぇ……そのとおりよ」

||‘‐‘||レ「私の考えでは、もう……人のなかに潜伏しているわ」

||‘‐‘||レ「ずっと前から、ね」

||‘‐‘||レ「そして……私が咄嗟の嘘をついた……というより、すべての真実を明かせなかった理由」


||‘‐‘||レ「それは、感染していると思える人物に出会ってしまったから」


 ロマネスクの体は、硬直した。
 一瞬、呼吸さえ忘れていた。

||‘‐‘||レ「……ヒートちゃんを遠ざけた理由は、それだと思ったんだけど、違ったのね」

(;ФωФ)「……悪い冗談なのである。まさか……」

||‘‐‘||レ「えぇ、お察しのとおり」

||‘‐‘||レ「――――他ならぬ、ヒートちゃんよ」

 また、風はカウガールの髪を弄んで、顔を覆った。
 まだ濡れている髪からは、まるで涙のように水滴が垂れ落ちている。

||‘‐‘||レ「ロマネスク、もう一度思い出して。ヒートちゃんは本当に、生まれてから全然変わってない?」

||‘‐‘||レ「……昔、ヒートちゃんは旅行に行ったことがあるって言ってたわよね」

||‘‐‘||レ「その場所も後で聞きたいけど、それは今は置いといて……」

||‘‐‘||レ「旅行から帰ってきた後から、ヒートちゃんに変化が生じはじめた……ということは、ないの?」

(;ФωФ)「…………」

(;ФωФ)「……よく覚えていないのである……恐らくヒートが旅行にいったのは、三年くらい前であるが……」

(;ФωФ)「そうと言われれば、そんな気もするという程度で……」

(;ФωФ)(しかし……確かに最近のヒートは、東の都の調査団でさえ手がつけられない凶暴化したビーグルを、一人で打ちのめしたりして……)

(;ФωФ)(以前よりも力強くなっている気はするのである……)

(;ФωФ)(……ビーグルと同じような症状が、ヒートに現れかけているとすれば……)

||‘‐‘||レ「……こんなただの予測を公に発表すれば大混乱だし、もちろんヒートちゃんに言うなんて以ての外だわ」

||‘‐‘||レ「私が豚と一緒に暮らしているのは本当で、豚が死ぬのは悲しいし、困ることだから、豚シンデルエンザを止めたいと思っている」

||‘‐‘||レ「……そして、豚の治療というよりも、むしろ感染源である可能性がある、人の豚シンデルエンザを治療したいと思っているの」

 カウガールは髪をかきあげ、小さめの岩に腰掛けた。
 しかしロマネスクは、ただその場に立ち尽くしている。

(;ФωФ)「……しかし……貴女がそもそも、人の豚シンデルエンザを治したいと思って東の都を目指していたなら……引っかかるのである」

(;ФωФ)「何故、その可能性を疑ったのであるか? 人が感染源かも知れない、と」

||‘‐‘||レ「……モンスターマスター・ショボンのところに、二人の可愛い娘がいたのは、覚えてると思うけど」

||‘‐‘||レ「私にも、あれくらいの妹がいたの。つい、最近まで」

( ФωФ)「ッ……!! 亡くなったのであるか……」

||‘‐‘||レ「ずっと元気で……ずっとずっと元気で……最近、ちょっと元気すぎるなって思ってたんだけど……」

|| ‐ ||レ「突然……」

 夜風は不意に、冷たさを増した。
 揺れる葉のざわめきは、ロマネスクの心と同化していく。

||‘‐‘||レ「それが豚シンデルエンザのせいかどうかは、分からないわ」

||‘‐‘||レ「私の村は、私が飼ってるトンキー以外の豚はみんな死んじゃったけど、人は妹以外、みんな生きてる」

||‘‐‘||レ「偶然、なんらかの病気に罹った可能性もある……いえ、そう考えたほうが自然かもしれないけれど」

||‘‐‘||レ「だけどやっぱり、豚シンデルエンザのせいじゃないかって可能性は疑わざるをえないわ」

(;ФωФ)「…………」

||‘‐‘||レ「今まであなたたちに何も言わなかったのは、言ったところで混乱させるだけだと思ったから」

||‘‐‘||レ「豚シンデルエンザが人にも感染する、あるいは人が感染源である、っていうのは本当にただの憶測にすぎないし……」

||‘‐‘||レ「だけど、ヒートちゃんを見てるとやっぱり……疑いは深まるし、もし罹ってるんだとしたら、これから症状がキツくなるんじゃないかって恐怖もあるわ」

||‘‐‘||レ「今のような症状で収まってくれてればいいけど……」

(;ФωФ)「手が付けられないほど凶暴になる可能性も……」

(;ФωФ)「……そして、突然死する可能性もある、ということであるか……?」

||‘‐‘||レ「最悪のシナリオは……徐々に凶暴化していき、突然死してしまう……だと思うわ」

||‘‐‘||レ「でも、何度も言うようだけど、ヒートちゃんがまだ感染してると決まったわけじゃない。
     東の都で、できれば調べてもらいたいところだけど」

||‘‐‘||レ「それに、ビーグルも調査すれば何か手がかりは得られると思う」

||‘‐‘||レ「どう予防すればいいのかまったく分からないウイルスだし、私たちは予防のしようもない……。
     もしかしたら人への感染は、人から人じゃないかもしれないし、感染にも条件があるかもしれない……」

||‘‐‘||レ「色々と考えだせばキリがないけど、とにかく今は、原因を突き止めて元を断つことに専念すべきだわ」

||‘‐‘||レ「私からは以上だけど……そっちから何かある?」

(;ФωФ)「…………」

||‘‐‘||レ「……そう、おやすみなさい」

 カウガールが立ち去った後も、ロマネスクはしばらくその場から動けなかった。
 まるで石像のように、固まりつづけていた。



 第7話へ




追記を閉じる▲


(;ФωФ)「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

(;ФωФ)「ぜはぁ、ぶはぁ、ぐはぁ」

ノハ#゚⊿゚)「ロマうるさい!!」

(;ФωФ)「し、仕方ないのである……ビーグルが重すぎるのである……」

 モンスターマスター・ショボン宅の側で生け捕りにしたビーグルは、気を失ったままだった。
 ヒートの汚職事拳はヒートが活力を入れてやらない限り、目を覚ますことがない。
 また暴れられてはならないため、一行にとっては好都合だったのだが、しかし。

(;ФωФ)「気を失った生物が重いのは重々承知……であったが……」

ノハ*゚⊿゚)「重いと重々をかけたのかぁぁぁぁ!! 上手いなぁぁぁぁ!!」

(;ФωФ)「突っ込む気力もないのである……」

 東の都までは、地図上の距離を元にロマネスクが計算したところによれば、五日ほど歩けば着くはずだった。
 ただし、それはあくまでいつもと同じ速度で歩いた場合、だ。
 ビーグルを引き連れたままでは、当然試算よりも時間は延びる。

||‘‐‘;||レ「大丈夫? 代わる?」

(;ФωФ)「だ、大丈夫なのである……女性の手を煩わせてはならんのである……」

ノハ#゚ー゚)「……私も一緒に引っ張ってる気がするんだけどなぁぁー」

(;ФωФ)「あ……そういえば……」

ノハ#゚⊿゚)「『そういえば』の後の言葉次第じゃあまた汚職事拳を振るうことになりそうだなぁぁぁぁ!!」

(;ФωФ)「に、逃げる気力もないのである……」

ノパ⊿゚)「やれやれ……」

 結局、ロマネスクの力はあってもなくても同じという結論が出され、ビーグルはヒート一人で引っ張ることとなった。

 先ほどと同じ平原がやけに美しく見えるロマネスクの足取りは、随分と軽やかになった。
 複雑だったのは、一緒に引っ張っていたときよりもヒートの歩く速度が速くなっていたのを見たときだが、ロマネスクは気にする余裕もなかった。
 ビーグルの前足に括りつけた縄を握り続けた手は震え、踏ん張り続けた膝も笑っていたからだ。

||‘‐‘||レ「ヒートちゃんはいつも元気ね」

( ФωФ)「昔からなのである」

||‘‐‘||レ「……昔からずっと、そうなの?」

( ФωФ)「まったく変わってないのである……」


( ФωФ)(……ん? 昔から……?)

( ФωФ)(確かに昔から元気だけが取り柄のような子ではあったが……)

( ФωФ)(…………)


||‘‐‘||レ「……どうしたの? 突然黙っちゃって」

( ФωФ)「……いや、何でもないのである」

( ФωФ)「それより、貴女には後で話があるのである」

||‘‐‘||レ「話? 私に? なぁに?」

( ФωФ)「後で、である」

||‘‐‘||レ「構わないけど……」

 カウガールのトンキーも、さすがにビーグルを引っ張れるほどの力はない。
 今はカウガールが曳きながら、一緒にゆっくり歩いている状態だった。

ノパ⊿゚)「ビーグルの群れも来ないなぁぁ~、平和だなぁぁぁ」

( ФωФ)「また襲われてはたまらんのである」

( ФωФ)「そういえば、なんでこのビーグルは単独行動を取っていたのか、分からんままであるな」

ノパ⊿゚)「難しいことはいいじゃん! って言ったじゃん!」

( ФωФ)「しかし、不可解なのである」

||‘‐‘||レ「ビーグルがウイルスを持っているとすれば、異常行動にも納得がいく気はするけれど」

( ФωФ)「確かに、凶暴化してしまうことを考えれば、群れから外れて行動してもおかしくはないのであるが」

||‘‐‘||レ「もう一つ気になるのは、突然死してしまう豚と違って、ビーグルは唐突に死んだりしないっていう点ね」

( ФωФ)「それも確かに、である。突然死でなければ、ビーグルが死んでしまったとしても、それがウイルスのせいなのかどうか、判別がつかないのである」

||‘‐‘||レ「屍体から病原体は検出されないから、よね?」

( ФωФ)「そうである。豚シンデルエンザは豚にしか脅威がないとも言われているであるが……。
      ビーグルも、突然死ではないというだけで、死に至っている可能性はあるのである」

||‘‐‘||レ「……他の生物の生命が脅かされる可能性も、なくはないわ」

( ФωФ)「まぁ、生け捕りにできたこのビーグルを調べれば、多少は謎も解明できるかとは思っているのであるが……」

ノハ;-⊿-)「難しい話はぁぁー、いいじゃんってぇぇー」

(;ФωФ)「……やれやれである」

 日が降る頃になってから、一行は辺りに町や村を探した。
 大きな地図上では見つけられないものの、小さな町や村が存在する可能性はあるためだ。

( ФωФ)「ちょっと都への道からは逸れてしまうのであるが……」

ノパ⊿゚)「仕方ない!!」

( ФωФ)「今日はこの村の宿に世話になるとするのである」

 夜になってからようやく見つけた村は、非常に小規模だったが、宿はあった。
 ログハウスのような見かけで、窓からは暖かい光が漏れている。
 煙突からは炊煙も上がっていた。

 中に入り、受付の老婆に一揖してからロマネスクは筆を持って宿帳へ向かう。
 要領の良い彼は前回の宿泊経験を経て、手続きを完璧に行えるようになっていた。
 ただし、それが何となくつまらないヒートは頬を膨らませている。

ノパ⊿゚)「ちょっとくらい欠点があってもいいんだぞぉぉ~」

(;ФωФ)「それは散々醜態を晒した我輩への嫌味であるか?」

 手続きを終えた三人は一緒に食事を摂り、終わってからは汗を流した。
 後は眠りに就くだけだったが、即座に夢の世界へと旅立ったのはヒートだけだった。
 元気にビーグルを引っ張っていたものの、やはり疲労があったのだろうか、とロマネスクは思った。

 ヒートの寝顔を確認したあと、ロマネスクは静かに部屋から退出した。

||‘‐‘||レ「ヒートちゃんは、もう寝ちゃったの?」

 風呂から上がったあと、外で体を冷やしていたカウガールの許へ、ロマネスクは歩いていく。

( ФωФ)「大いにぐっすりなのである。アルファベットZのスーツは心地よいそうである」

||‘‐‘;||レ「あれ貰ってきたんだ……」


||‘‐‘||レ「……で、お話は何かしら?」

||‘‐‘||レ「わざわざヒートちゃんを遠ざけたくらいだから、明日のお天気の話じゃなさそうだけど」

( ФωФ)「ヒートは純粋な子なのである。あんまり聞かせたくはなかったのであるよ」

||‘‐‘||レ「……ふぅん。気になるわね」

( ФωФ)「気になってるのはこっちのほうである」


( ФωФ)「カウガール、貴女は何故"嘘"をついたのであるか?」


||‘‐‘||レ「……意味が分からないわ」

( ФωФ)「それが本心であるなら、我輩としても嬉しいのである」

( ФωФ)「ただ、貴女は旅の目的を『豚シンデルエンザの治し方を探すため』と言ったのである」

( ФωФ)「どう考えても、おかしいのである」

||‘‐‘||レ「……同じことを言うけれど、意味が分からないわ。何故、それがおかしいの?」

||‘‐‘||レ「私は豚シンデルエンザで豚たちが死んでしまうのを見過ごせなくて」

( ФωФ)「モンスターマスター・ショボンが言ったことを、覚えていないのであるか?」

( ФωФ)「『豚シンデルにかかった豚は、突然死してしまう。
      生きている状態で調べるのは、難しい』」

||‘‐‘;||レ「!!」

( ФωФ)「そう……生きている状態で調べるのが難しいということは、そもそも豚シンデルエンザに罹病したと感知することさえ困難なのである」

( ФωФ)「『予防』なら納得がいく。しかし、『治療』ではおかしいのである」

( ФωФ)「治す間もなく突然死してしまうから、豚シンデルエンザは恐ろしいのである」

||‘‐‘;||レ「…………」

( ФωФ)「もちろん、貴女のなかでは『予防』のつもりだったが、言葉としては『治療』になってしまっていただけ、ということも考えられるのである」

( ФωФ)「つまり、単なる言い間違いであったというのなら、我輩は心より詫びる覚悟である」

( ФωФ)「しかし……貴女は何か、他の目的も抱えているのではないか、と思ってしまうのであるよ」

( ФωФ)「我輩たちを、悪意を持って欺こうとしている、とは思いたくないし、そう思ってもいないのであるが……」

|| ‐ ||レ「…………」

||‘‐‘||レ「……厳密には、私が言ったことは、嘘ではないのだけれど……。
     そうね、そこまで気づいてるなら、黙っていても仕方がないわね」

 カウガールはロマネスクに一歩、歩み寄る。
 二人の月影が僅かに重なった。

||‘‐‘||レ「今から言うことは、まだ全部推測の域を出ない話よ」

||‘‐‘||レ「荒唐無稽で、まったく信じられない……いえ、信じたくない話かもしれないけれど」

||‘‐‘||レ「それでも、聞く?」

( ФωФ)「……もちろんである」

||‘‐‘||レ「……そう、分かったわ」


||‘‐‘||レ「まず、この豚シンデルエンザ、ビーグルも感染していることは間違いないと思う」

( ФωФ)「我輩もそう思うのであるよ」

||‘‐‘||レ「モンスターマスター・ショボンの見立てでは、ビーグルが感染源となっていて、豚にうつると突然死してしまう……ということだったけど」

||‘‐‘||レ「豚への感染が凄まじい勢いで広まっていて、ビーグルも最近、あちこちで暴れてるって話だわ」

( ФωФ)「……もしや、潜伏のことを考えているのであるか?」

||‘‐‘||レ「鋭いわね、そのとおりよ。このウイルスはあまりに爆発的に広まりすぎている」

||‘‐‘||レ「恐らく、相当な潜伏期間を経ているんだわ」

||‘‐‘||レ「……そして、潜伏している間は何も感じられない」

( ФωФ)「しかし、よく分からないのである。貴女はいったい、何を恐れているのであるか?」

||‘‐‘||レ「……豚と、ビーグル以外への感染よ」

 夜風がカウガールの髪を攫い、その表情を覆い隠す。
 ロマネスクは、何故か、背後の月の光で目が眩んだ。

(;ФωФ)「人への感染……であるか?」

||‘‐‘||レ「えぇ……そのとおりよ」

||‘‐‘||レ「私の考えでは、もう……人のなかに潜伏しているわ」

||‘‐‘||レ「ずっと前から、ね」

||‘‐‘||レ「そして……私が咄嗟の嘘をついた……というより、すべての真実を明かせなかった理由」


||‘‐‘||レ「それは、感染していると思える人物に出会ってしまったから」


 ロマネスクの体は、硬直した。
 一瞬、呼吸さえ忘れていた。

||‘‐‘||レ「……ヒートちゃんを遠ざけた理由は、それだと思ったんだけど、違ったのね」

(;ФωФ)「……悪い冗談なのである。まさか……」

||‘‐‘||レ「えぇ、お察しのとおり」

||‘‐‘||レ「――――他ならぬ、ヒートちゃんよ」

 また、風はカウガールの髪を弄んで、顔を覆った。
 まだ濡れている髪からは、まるで涙のように水滴が垂れ落ちている。

||‘‐‘||レ「ロマネスク、もう一度思い出して。ヒートちゃんは本当に、生まれてから全然変わってない?」

||‘‐‘||レ「……昔、ヒートちゃんは旅行に行ったことがあるって言ってたわよね」

||‘‐‘||レ「その場所も後で聞きたいけど、それは今は置いといて……」

||‘‐‘||レ「旅行から帰ってきた後から、ヒートちゃんに変化が生じはじめた……ということは、ないの?」

(;ФωФ)「…………」

(;ФωФ)「……よく覚えていないのである……恐らくヒートが旅行にいったのは、三年くらい前であるが……」

(;ФωФ)「そうと言われれば、そんな気もするという程度で……」

(;ФωФ)(しかし……確かに最近のヒートは、東の都の調査団でさえ手がつけられない凶暴化したビーグルを、一人で打ちのめしたりして……)

(;ФωФ)(以前よりも力強くなっている気はするのである……)

(;ФωФ)(……ビーグルと同じような症状が、ヒートに現れかけているとすれば……)

||‘‐‘||レ「……こんなただの予測を公に発表すれば大混乱だし、もちろんヒートちゃんに言うなんて以ての外だわ」

||‘‐‘||レ「私が豚と一緒に暮らしているのは本当で、豚が死ぬのは悲しいし、困ることだから、豚シンデルエンザを止めたいと思っている」

||‘‐‘||レ「……そして、豚の治療というよりも、むしろ感染源である可能性がある、人の豚シンデルエンザを治療したいと思っているの」

 カウガールは髪をかきあげ、小さめの岩に腰掛けた。
 しかしロマネスクは、ただその場に立ち尽くしている。

(;ФωФ)「……しかし……貴女がそもそも、人の豚シンデルエンザを治したいと思って東の都を目指していたなら……引っかかるのである」

(;ФωФ)「何故、その可能性を疑ったのであるか? 人が感染源かも知れない、と」

||‘‐‘||レ「……モンスターマスター・ショボンのところに、二人の可愛い娘がいたのは、覚えてると思うけど」

||‘‐‘||レ「私にも、あれくらいの妹がいたの。つい、最近まで」

( ФωФ)「ッ……!! 亡くなったのであるか……」

||‘‐‘||レ「ずっと元気で……ずっとずっと元気で……最近、ちょっと元気すぎるなって思ってたんだけど……」

|| ‐ ||レ「突然……」

 夜風は不意に、冷たさを増した。
 揺れる葉のざわめきは、ロマネスクの心と同化していく。

||‘‐‘||レ「それが豚シンデルエンザのせいかどうかは、分からないわ」

||‘‐‘||レ「私の村は、私が飼ってるトンキー以外の豚はみんな死んじゃったけど、人は妹以外、みんな生きてる」

||‘‐‘||レ「偶然、なんらかの病気に罹った可能性もある……いえ、そう考えたほうが自然かもしれないけれど」

||‘‐‘||レ「だけどやっぱり、豚シンデルエンザのせいじゃないかって可能性は疑わざるをえないわ」

(;ФωФ)「…………」

||‘‐‘||レ「今まであなたたちに何も言わなかったのは、言ったところで混乱させるだけだと思ったから」

||‘‐‘||レ「豚シンデルエンザが人にも感染する、あるいは人が感染源である、っていうのは本当にただの憶測にすぎないし……」

||‘‐‘||レ「だけど、ヒートちゃんを見てるとやっぱり……疑いは深まるし、もし罹ってるんだとしたら、これから症状がキツくなるんじゃないかって恐怖もあるわ」

||‘‐‘||レ「今のような症状で収まってくれてればいいけど……」

(;ФωФ)「手が付けられないほど凶暴になる可能性も……」

(;ФωФ)「……そして、突然死する可能性もある、ということであるか……?」

||‘‐‘||レ「最悪のシナリオは……徐々に凶暴化していき、突然死してしまう……だと思うわ」

||‘‐‘||レ「でも、何度も言うようだけど、ヒートちゃんがまだ感染してると決まったわけじゃない。
     東の都で、できれば調べてもらいたいところだけど」

||‘‐‘||レ「それに、ビーグルも調査すれば何か手がかりは得られると思う」

||‘‐‘||レ「どう予防すればいいのかまったく分からないウイルスだし、私たちは予防のしようもない……。
     もしかしたら人への感染は、人から人じゃないかもしれないし、感染にも条件があるかもしれない……」

||‘‐‘||レ「色々と考えだせばキリがないけど、とにかく今は、原因を突き止めて元を断つことに専念すべきだわ」

||‘‐‘||レ「私からは以上だけど……そっちから何かある?」

(;ФωФ)「…………」

||‘‐‘||レ「……そう、おやすみなさい」

 カウガールが立ち去った後も、ロマネスクはしばらくその場から動けなかった。
 まるで石像のように、固まりつづけていた。



 第7話へ



【2009/06/05 21:52】 | 雑記
トラックバック(0) |


名無しさん
おぉぉ…
おもしれぇ


ξ*' 3`)ξカンザイ
なんという衝撃の展開……
って俺の書き間違いがまさかこんな複線になろうとは


名無しさん
展開動いたなぁ
面白くなってきた


名無しさん
なんというシリアス路線突入……こりゃ面白くなってきやがった!


名無しさん
作者のヒートって初めて見た希ガス


BE
いいのかい?誰も「続きを書く」宣言をしなくて?
俺はシリアス展開の次でも構わずホイホイカオスにしちまうような男なんだぜ?

ということで、誰も宣言する方がいなければ続きは私に書かせてください。
ブログ名は、「jigendaddyの日記」
URLはttp://boonnovel.g.hatena.ne.jp/jigendaddy/です。


◆azwd/t2EpE
皆さんありがとうございます

>>カンザイさん
既に書き上げていたとは露知らず、譲っていただく形になっちゃってごめんなさい

>>米5さん
そうですね、初めて書きました

>>BEさん
いっぱい展開動かしちゃったあとですが、
何卒よろしくお願いします

コメントを閉じる▲
コメント
この記事へのコメント
おぉぉ…
おもしれぇ
2009/06/05(Fri) 23:54 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
なんという衝撃の展開……
って俺の書き間違いがまさかこんな複線になろうとは
2009/06/06(Sat) 01:13 | URL  | ξ*' 3`)ξカンザイ #-[ 編集]
展開動いたなぁ
面白くなってきた
2009/06/06(Sat) 07:48 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
なんというシリアス路線突入……こりゃ面白くなってきやがった!
2009/06/06(Sat) 09:56 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
作者のヒートって初めて見た希ガス
2009/06/06(Sat) 14:04 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
いいのかい?誰も「続きを書く」宣言をしなくて?
俺はシリアス展開の次でも構わずホイホイカオスにしちまうような男なんだぜ?

ということで、誰も宣言する方がいなければ続きは私に書かせてください。
ブログ名は、「jigendaddyの日記」
URLはttp://boonnovel.g.hatena.ne.jp/jigendaddy/です。
2009/06/06(Sat) 14:16 | URL  | BE #-[ 編集]
皆さんありがとうございます

>>カンザイさん
既に書き上げていたとは露知らず、譲っていただく形になっちゃってごめんなさい

>>米5さん
そうですね、初めて書きました

>>BEさん
いっぱい展開動かしちゃったあとですが、
何卒よろしくお願いします
2009/06/06(Sat) 14:23 | URL  | ◆azwd/t2EpE #3mUviMwU[ 編集]
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。