◆azwd/t2EpEによる雑記です。 自由気ままに書いてみます。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 陽当たりの良さには満足していた。
 朝、早起きするのが楽しみなくらいに。

 だけど、町の開発が進んで向かいに大きなビルが立ち、
 私の事務所であり家でもあるこの建物は、すっかり陰に隠れてしまった。

 華やかで親しみやすい『何でも屋』を目指していた私は、それ以来ビルを見つめては溜息を吐いていた。






   【ξ゚⊿゚)ξツンは何でも屋を営んでいるようです】







≪第1話 ~黒いスーツと私~≫


 文字通り、何でもやります。
 そう謳って開店した何でも屋。

 向かいに立っているビルに比べればあまりに粗末なこの建物の、目立たない二階にそれはある。

ξ゚⊿゚)ξ「リンー、朝だよー」

 寝覚めの悪い愛猫を起こして一日が始まる。
 小さな小さな何でも屋の開店準備が始まる。

 まずはコーヒーを淹れるために湯を沸かして、食パンをオーブントースターに投入。
 沸騰と焼き上がりを待つ間に朝刊を取ってきて、食事用のテーブルに放り投げる。
 猫のリンがエサを求め鳴いているのを聞き流しながらパンにマーガリンを塗った。

 パンの熱で溶け出したマーガリンが煌きを発する。
 向かいのビルがなかった頃は直接日光を浴びて、まるで宝玉のような輝きを放っていたのに。
 今でも一応輝いてはいるけど、あの頃を知っている私からすればちょっと物足りない。

 まったく陽が射し込まないわけじゃないけど、やっぱり前までと比べると減っちゃった。
 私はそれがかなり不満だったりする。

ξ゚⊿゚)ξ「あーあ、陽当たりだけは満足してたのにな」

 もうビルが建ってから一ヶ月は経つ。
 それでも毎日のように恨み節を口にしてる。
 うーん、我ながら女々しい。

 でも、一年も慣れ親しんできた陽光との、突然の別れ。
 悲しまないほうが人間としてどうかしてるよね、多分。

ξ゚⊿゚)ξ「だよねー、リン」

 キャットフードの袋を無造作に開けてその場に放置し、リンと共に朝食を摂り始める。
 しばらく室内に咀嚼音だけが響いて、何となくもの寂しい気分。

 あ、そういえばテレビを付け忘れてた。
 いつもと違う感覚の原因を発見し、リモコンを軽やかに操作してテレビの電源をオンにする。
 お天気キャスターのお姉さんは今日もお化粧厚めな感じ。

ξ゚⊿゚)ξ("今日は夏の暑さが戻ってきたかのような気温となるでしょう"かぁ……)

 お天気お姉さんは春を感じさせるような、華やかで陽気な笑顔を振りまいている。
 天気図から目を離し、新聞に視線を落とした。

ξ゚⊿゚)ξ「日本人のノーベル賞は喜ばしいことよね」

 リンに話しかけるも、空腹の愛猫はキャットフードを胃に収めることで必死なようで……。
 せめてこっちを向くくらいしてもいいのに、と心の中で呟く。

 新聞の一面では、ノーベル物理賞を与えられた柔和な顔の大学教授が微笑んでいる。
 この上ない幸せ、というコメントが表情からも読み取れた。

 食パンをくわえながら新聞をペラペラとめくっていく。
 政治や経済、スポーツに至るまでほぼ全ての記事に目を通す。
 職業柄、世の中の出来事には精通してたほうが何かと便利だから。

ξ゚⊿゚)ξ「さーてと」

 皿の上がパンの粉だけになり、コーヒーカップも底の白さを露わにした。
 椅子から立ち上がって食器を片す。

 食べ終わったらすぐに食器を洗うのが私のポリシー。
 時間が経つと洗い物がひどく面倒になり、目を覆いたくなるほど溜め込んじゃうから。
 ここで一人暮らしを始めてから一年と一ヶ月。さすがに自分のことはよく分かってる。

ξ゚⊿゚)ξ「今日はどんな依頼が来るかなー……っと」

 台所用の洗剤を颯爽とふりかけ、食器を泡まみれにする。
 いつも過剰だと思うけど、加減がいまいち分からない。
 なんで洗剤には目安量が書いてないのかなぁ……調味料はちゃんと書いてくれてるのに。

 泡を水で流し落とし、食器に美しさが蘇る。
 向かいのビルさえなければ水滴のついた食器も更に輝いていたのに。
 なんて一瞬思ったけど、よく考えたらここまでは日光も届かない。

ξ゚⊿゚)ξ「ま、細かいことは気にしないでおこーっと」

 洗い物を終えて、茶色いソファーに身を沈めた。
 先日買ったばかりの新品。最近ここに座るのが密かな楽しみだった。
 ちなみに先代のソファーはリンが爪を研ぎまくってボロボロにしちゃって、引退の憂き目に……。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、イリノイ・フィクターズがまた勝ってる。強いなー」

 朝のニュースを見ながら寛いだ。
 人間、ゆとりの時間が大切だよね。気を張ってばっかだと疲れちゃう。

 依頼が来ればのんびりする暇はなくなるかも知れないから。
 まったりできるときにまったりしておいたほうがいい、というのが私の経験則。

ξ゚⊿゚)ξ(……依頼、来るかなぁ……)

 空になった依頼書箱をひっくり返しながら、依頼を待った。
 ここ二日くらい、そんな時間が漫然と過ぎてってる。


その2へ




追記を閉じる▲
 陽当たりの良さには満足していた。
 朝、早起きするのが楽しみなくらいに。

 だけど、町の開発が進んで向かいに大きなビルが立ち、
 私の事務所であり家でもあるこの建物は、すっかり陰に隠れてしまった。

 華やかで親しみやすい『何でも屋』を目指していた私は、それ以来ビルを見つめては溜息を吐いていた。






   【ξ゚⊿゚)ξツンは何でも屋を営んでいるようです】







≪第1話 ~黒いスーツと私~≫


 文字通り、何でもやります。
 そう謳って開店した何でも屋。

 向かいに立っているビルに比べればあまりに粗末なこの建物の、目立たない二階にそれはある。

ξ゚⊿゚)ξ「リンー、朝だよー」

 寝覚めの悪い愛猫を起こして一日が始まる。
 小さな小さな何でも屋の開店準備が始まる。

 まずはコーヒーを淹れるために湯を沸かして、食パンをオーブントースターに投入。
 沸騰と焼き上がりを待つ間に朝刊を取ってきて、食事用のテーブルに放り投げる。
 猫のリンがエサを求め鳴いているのを聞き流しながらパンにマーガリンを塗った。

 パンの熱で溶け出したマーガリンが煌きを発する。
 向かいのビルがなかった頃は直接日光を浴びて、まるで宝玉のような輝きを放っていたのに。
 今でも一応輝いてはいるけど、あの頃を知っている私からすればちょっと物足りない。

 まったく陽が射し込まないわけじゃないけど、やっぱり前までと比べると減っちゃった。
 私はそれがかなり不満だったりする。

ξ゚⊿゚)ξ「あーあ、陽当たりだけは満足してたのにな」

 もうビルが建ってから一ヶ月は経つ。
 それでも毎日のように恨み節を口にしてる。
 うーん、我ながら女々しい。

 でも、一年も慣れ親しんできた陽光との、突然の別れ。
 悲しまないほうが人間としてどうかしてるよね、多分。

ξ゚⊿゚)ξ「だよねー、リン」

 キャットフードの袋を無造作に開けてその場に放置し、リンと共に朝食を摂り始める。
 しばらく室内に咀嚼音だけが響いて、何となくもの寂しい気分。

 あ、そういえばテレビを付け忘れてた。
 いつもと違う感覚の原因を発見し、リモコンを軽やかに操作してテレビの電源をオンにする。
 お天気キャスターのお姉さんは今日もお化粧厚めな感じ。

ξ゚⊿゚)ξ("今日は夏の暑さが戻ってきたかのような気温となるでしょう"かぁ……)

 お天気お姉さんは春を感じさせるような、華やかで陽気な笑顔を振りまいている。
 天気図から目を離し、新聞に視線を落とした。

ξ゚⊿゚)ξ「日本人のノーベル賞は喜ばしいことよね」

 リンに話しかけるも、空腹の愛猫はキャットフードを胃に収めることで必死なようで……。
 せめてこっちを向くくらいしてもいいのに、と心の中で呟く。

 新聞の一面では、ノーベル物理賞を与えられた柔和な顔の大学教授が微笑んでいる。
 この上ない幸せ、というコメントが表情からも読み取れた。

 食パンをくわえながら新聞をペラペラとめくっていく。
 政治や経済、スポーツに至るまでほぼ全ての記事に目を通す。
 職業柄、世の中の出来事には精通してたほうが何かと便利だから。

ξ゚⊿゚)ξ「さーてと」

 皿の上がパンの粉だけになり、コーヒーカップも底の白さを露わにした。
 椅子から立ち上がって食器を片す。

 食べ終わったらすぐに食器を洗うのが私のポリシー。
 時間が経つと洗い物がひどく面倒になり、目を覆いたくなるほど溜め込んじゃうから。
 ここで一人暮らしを始めてから一年と一ヶ月。さすがに自分のことはよく分かってる。

ξ゚⊿゚)ξ「今日はどんな依頼が来るかなー……っと」

 台所用の洗剤を颯爽とふりかけ、食器を泡まみれにする。
 いつも過剰だと思うけど、加減がいまいち分からない。
 なんで洗剤には目安量が書いてないのかなぁ……調味料はちゃんと書いてくれてるのに。

 泡を水で流し落とし、食器に美しさが蘇る。
 向かいのビルさえなければ水滴のついた食器も更に輝いていたのに。
 なんて一瞬思ったけど、よく考えたらここまでは日光も届かない。

ξ゚⊿゚)ξ「ま、細かいことは気にしないでおこーっと」

 洗い物を終えて、茶色いソファーに身を沈めた。
 先日買ったばかりの新品。最近ここに座るのが密かな楽しみだった。
 ちなみに先代のソファーはリンが爪を研ぎまくってボロボロにしちゃって、引退の憂き目に……。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、イリノイ・フィクターズがまた勝ってる。強いなー」

 朝のニュースを見ながら寛いだ。
 人間、ゆとりの時間が大切だよね。気を張ってばっかだと疲れちゃう。

 依頼が来ればのんびりする暇はなくなるかも知れないから。
 まったりできるときにまったりしておいたほうがいい、というのが私の経験則。

ξ゚⊿゚)ξ(……依頼、来るかなぁ……)

 空になった依頼書箱をひっくり返しながら、依頼を待った。
 ここ二日くらい、そんな時間が漫然と過ぎてってる。


その2へ



【2008/04/13 17:13】 | 何でも屋
トラックバック(0) |


名無しさん
地の文から受ける印象がアルファとけっこう違うなぁ
続きwktk


名無しさん
期待期待


名無しさん
野球の話題が出るところに氏らしさを感じたww
これからどうなるんだろう?楽しみです。

コメントを閉じる▲
コメント
この記事へのコメント
地の文から受ける印象がアルファとけっこう違うなぁ
続きwktk
2008/04/13(Sun) 22:11 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
期待期待
2008/04/13(Sun) 23:46 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
野球の話題が出るところに氏らしさを感じたww
これからどうなるんだろう?楽しみです。
2008/04/14(Mon) 10:01 | URL  | 名無しさん #-[ 編集]
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。